スカイコード
基本情報
ブランド | MELLOW |
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発売日 | 2024-05-31 |
公式サイト URL | https://mellow-soft.com/skychord/ |
ブランドサイト URL | http://mellow-soft.com/ |
管理人お気に入り度 | B+(好き。) |
管理人おすすめ度 | B+(興味があればぜひとも。) |
管理人プレイ時間 | 13時間 |
こんな方におすすめ
- 少し変わった心の動きを持つ登場人物を眺めたい人
- 美しいイラストと音楽を楽しみたい人
- 赦されたい人
こんな方は要注意
- 登場人物に感情移入し、登場人物を理解したい人
- 勧善懲悪が不十分な話にもやもやしがちな人
感想
たとえ罪深くても、人を傷つけても、生きていていいんだよ。(でも人はその権利を自ら放棄することがあるよ。) そんな話だったように感じている。 ボリュームは少なめだが演出にはかなり力が入っていた。
今回の感想は割と全体的にネタバレです。
公式サイトでも触れられている「希死念慮」については、メインテーマというよりも上記のテーマを語る際についてまわるもの、といった印象を受けた。実際、「自殺願望」ではない「希死念慮」を抱いているメインキャラクターはシンジュくらいだったし。(もしかしたら九条もそうだったかもしれないが)
作中の時間軸で死んだキャラクターは全員、自ら死を選んでいる。不慮の事故などで亡くなったキャラクターは一人もいなかったはず。 作中では自死の善悪について特に触れられておらず、生きたか、死んだかよりも救われたかどうかで語っていることが多い。 そういうところも赦しの物語らしいなと思う。
とはいえ遺された側は、後悔や悲しみがあるもの。 天使ルートにおいて、最後に天使の起こした奇跡でソーダとシンジュが「幸せだった」と言いにきてくれたときは梯子が報われて(天使ルートネタバレのため白抜き)本当に良かったと思った。
逆にシンジュルートでは、最後の奇跡がちょっと自分の納得のいかない方向に行ってしまった。 最後にシンジュが梯子と再会できたのは王道の良さのある展開ではあるが、このルートの場合はちょっと違うのかなと。 シンジュは、記憶を無くても罪の意識だけを背負ってひとり生きていくと自ら決めたはず。 シンジュの抱えていた希死念慮と初めて知った強い感情、それに縋ることで生じた心の歪みと、そこから正気に戻るときに生まれた強さ。 その変化に心惹かれていただけに、ラストでその勇気ある決断が台無しになった気がして少し悲しかった。
あとは、細かい点で気になることがちらほら。(見逃してたらごめんなさい。)
- 梯子たちの学校で優勝カップに刺さっていた羽根は結局誰のだったのか
- 九条は「羽根を集めれば天を助けることができる」とどうやって知ったのか
- 学校でも一匹狼そうな九条が、どうして梯子をいじめるときには不良を従えることができていたのか
など。 ちなみに体験版の段階だと、梯子の情緒がよく分からないと思っていたが、それはおおむね解消した。 自分が校舎の屋上から飛び降りたことに過剰な罪悪感を持っているように見えたのも、消えてしまいたいと思っているはずなのに出会ったばかりの女の子を追いかけまわす気力があったのも、本編(特に天使ルート)をやった後だと、まあ、こうなのかなと当たりがつけられる。
同ブランド前作「2045、月より。」のレビューで、私はこのような一文を書いた。
ヒロインの痛いほどの感情の動きやアクの強い結末といった自分が期待していた要素は、物語の整合性の犠牲になってしまっていたように思う。
今回は前作とは逆で、物語の整合性に疑問が残る部分は多少ありつつも、人と違う心に悩むキャラクターたちや切なさの残るハッピーエンドが描かれていた。前々作「アサガオは夜を識らない。」で好きだった要素も随所に感じられて嬉しかった。 その上で、「2045、月より。」のような緩急というか、エンターテイメントとしての堅実さもあった。 MELLOW の最高傑作で、MELLOW で一番おすすめの作品と言っていいと思う。
投稿日: 2025-04-25