水葬銀貨のイストリア
基本情報
ブランド | ウグイスカグラ |
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発売日 | 2017-03-14 |
公式サイト URL | http://kagura.rdy.jp/ginka/ |
ブランドサイト URL | http://kagura.rdy.jp |
管理人お気に入り度 | A+(超大好き!!) |
管理人おすすめ度 | A(やってほしい。) |
管理人プレイ時間 | 40時間 |
こんな方におすすめ
- 可愛いキャラクターに辛い人生を送ってほしい人 (わたしです)
- 悲劇に心を揺さぶられたい人
- 魅力的な悪役を探している人
こんな方は要注意
- 絵の安定性が気になる人
- 誤字脱字が気になる人
- 個別ルートを大事にしたい人
感想
ばら撒かれた悲劇の種がどう花開くのか、ワクワク (?) しながら読めた。 TRUE END / BAD END の悲劇の嵐と怒涛の伏線回収は見事。 キャラクターも1人1人が興味深い。 誤字脱字、立ち絵分裂、一枚絵のクオリティのばらつき、シーンジャンプなし他多数の欠点さえ補ってあまりあるシナリオとキャラクターを見せてもらった。
序盤から、または作中の時間のさらに前からばら撒かれた悲劇の種がどう花開くのか、読んでいる間ワクワク (?) しっぱなしだった。特に TRUE END / BAD END の力の入れようはすごい。描写から言って可能性くらいは考えてもよかったのに、全く考えていなかった事実がいくつも判明した。逆に個別ルートは悪くはないがかなりあっさりだった。
個別ルートはあっさりだったものの、キャラクターの掘り下げ自体は一通りしっかりされていた印象。ある者は極度の自己犠牲精神を、またある者は尖った欲望を、またある者は過度の罪悪感を、というようにやや極端な人格をしたキャラクターが多い。しかし、それぞれの人物の心情が (時にはややしつこいと思うくらいに) 克明に描写されており、私に強い興味と同情をもたらした。特に悪役勢の征士、紫子、紅葉、さらに作中の人魚姫以外の人間で1番の聖人であると思われる宗名はメインを食いかねないくらい興味深いキャラクターであった。
個人的に、感情の描写を重視しているゲームで悲劇の次に大事なのは音楽だと思っているが、その音楽も一曲一曲悲しげで、透明感があって好き。
しかし残念ながら、上記で触れた要素とキャラデザ以外はあまり褒められたものではない要素も多い。他の方も触れているように物凄い数の誤字脱字はシリアスシーンにも容赦なく現れ、泣き所のシーンでも笑いそうになってしまう。ヒロインの立ち絵が少なくとも2回は分裂する。肝心なシーンでヒロインの一枚絵がかわいくなくなる。それから、バックログからのシーンジャンプがないのも地味に不便。
これは気にしすぎかもしれないが、個別ルートの選択肢も少し気になった。大きく2つに分かれる個別ルートはどちらも
- 主人公が2人のヒロインに迫られて迷い、最後まで決められない
- もうこれ以上先延ばしできないところで決定的な選択肢が出る
- 選択肢を選ぶと、主人公の心が以前から決まっていたことになっている
という流れなのが気になった。主人公の心が以前から決まっていたことになるのならば選択肢はそれより前に出しておいて、決定的な場面になる前に別々の展開や心情描写があってしかるべきだと思うし、逆に主人公が最後まで迷っている描写を入れるのであれば主人公がその場でやっと決断できたという描写にするべきだと思う。
とはいえ、数多くの欠点さえ補って有り余るようなシナリオとキャラクターを見せてくれるのは確か。体験版での悲しみの予感に少しでも心が踊った方には是非とも手にとっていただきたい。
投稿日: 2021-01-07