魔法少女消耗戦線 DeadΩAegis

絶望し、わずかな希望を見せられてはその希望をへし折られてさらに絶望する主人公・みのりの心理描写は特に真に迫っていて、彼女たちを消耗する気満々の、画面の向こうの我々すら気分を悪くしそうなものである。その分、彼女の身の回りで起きる展開は「みのりはそういうやつだよね」と納得できるものであり、気付いたら感情移入している。

七虹とイリューシャについては心理描写もシーンももっとほしいところではあったが、そうであっても個性的でみのりに負けずとも劣らない魅力を発揮しているので好き。七虹なんかは同性にも、なんなら異性にも嫌われそうな要素をたくさん持っているが、あるシナリオではその嫌われ要素を遺憾無く発揮していて、そのブレなさが却って気持ち良い。彼女は初めから一言も嘘言っていないしね。私が二次創作を書くなら彼女の話になるだろう。

序盤の BAD END を除くとルートは大きく2つに分かれる。 片方は C.C. との戦争がメインの長大でひたすら理不尽な展開が続くルートで、もう片方は魔法少女の存在そのものを中心として扱ったやや短いがこれはこれで面白いルート。いずれも主人公たちが失うものは大きいが、何もかもが破滅で終わるわけではなく、一応の救いもあるのでそこは安心 (?) 。

意外と言っては失礼かもしれないが、戦闘描写も頑張っている。決して数の多くない素材をよく計算して使っていて、プレイしている最中は戦闘シーンのたびに気持ちが盛り上がった。

一方で、これから買う人が留意しておくと良さそうなのは、 H シーンのマンネリ感と尺の短さ。いかにも抜きゲーな見た目をしているが、実用性がめちゃくちゃ高いわけではなさそう (私はエロゲで抜かないので確実なことは言えない)。1つ1つのシーンの描写は良いがあっさり終わってしまうシーンも多く、後半になると似たようなシチュエーションが目立つ。地の文で「こういうこともあったよ」と流されているシーンがいくつかあるのだが、むしろそのシーンが見たい！ と思うことも多かった。

また、みのり以外のキャラクターのシーンはとても少ないので注意。特にリゼットと残雪はないに等しい。