ATRI -My Dear Moments- (全年齢)

基本情報

ブランドANIPLEX.EXE
発売日2020-06-19
公式サイト URLhttps://atri-mdm.com/
ブランドサイト URLhttps://aniplex-exe.com/
管理人お気に入り度B+好き。
管理人おすすめ度Aやってほしい。
管理人プレイ時間12時間

こんな方におすすめ

  • 夏の雰囲気に浸りたい人
  • ロボっ娘に萌えたい人
  • 美しい絵と音楽を楽しみたい人

こんな方は要注意

  • SF 要素に期待している人
  • 幼馴染スキー

感想

瑞々しく美しい雰囲気に手軽に浸れる夏ゲー。BGM/主題歌ともに音楽は粒揃い。絵は普段あまり深くは気にかけないほうなのだが、一枚絵の1枚1枚が他のゲームでいうクライマックス級のクオリティで流石に舌を巻いた。シナリオについてはモヤモヤする部分も多いが、仲間たちの空気感や互いに変わっていくアトリと夏生に注目すると温かい気持ちになれる。

序盤は物悲しさを孕みつつも爽やかな雰囲気と、そして何よりアトリのポンコツ可愛さに惹かれた。孤独で他人を寄せ付けなかった夏生に仲間ができて、みんなでひたむきに頑張る姿は体験版の段階からもう泣けてくる。

中盤はやや不穏な要素も絡んできて面白かったが、徐々に納得のいかない部分も出てきた。例えば、悪役として出てきた「ヤスダ」対峙する場面ではアトリ可愛さに現実が見えていないとしか思えない夏生と仲間たちの言葉に若干モヤモヤ。アトリが可愛いのはよくわかるし、そういう盲目さこそが恋であるとも言える。私も普段はそういう恋愛の不合理さの描写が好きだったりもするので、嫌いだとは言えないのだけれど。 ヤスダは主張の仕方こそヒステリックだが、主張の中身自体は主人公たちの考え方よりもよほど納得のいくものだと思う。そう思えるのは私も技術者だからだろうか。それとも斜に構えた大人になってしまったからだろうか。 もしこれがフルプライス作品だったなら、結局感情とは何なのか、アトリはどういう仕組みで作られているのか、あたりももっと見たかったな。

終盤は賛否が分かれそうだが、個人的にはモヤモヤを残しつつもそれを超える感傷と温もりを感じ、読後感は心地良かった。何もかもが都合よくはいかないけれど最後には救われる。

以下露骨なネタバレのため白抜き。

ただ、水菜萌は本当にあれで良かったのだろうか。あれでは永遠に2番目の女ではないか。 作中で描写されているように、水菜萌は純粋に人の幸せを願うことのできる類稀なる心の美しさを持つ女の子だ。 だから、別に夏生が他の女の子と付き合ったからといって負の感情を前面に押し出すような子ではないのは分かる。 しかしそれにしても水菜萌の感情が分からない。水菜萌が夏生のことを好きなのは他のキャラクターから散々指摘されているが、それにしては本人の言動から夏生への執着をあまり感じない。 ギャルゲーという世界には他のヒロインのルートに入り次第恋心がなかったことにされるヒロインはそう珍しくないが、本作品の場合アトリと夏生が心を通わせた後も水菜萌は一生夏生を支え続けることになるので、その想いの重みについての描写は結構気になってしまう。 別にただただ純粋に夏生とアトリの幸せを願っていて自分の恋心などどうでも良いと思っている、というキャラクターでも構わないのだが、それならそれでその純粋さの異常性をシナリオで指摘してほしかった。 周りも周りで水菜萌の気持ちは分かっているはずなのに、「2番目の女」として夏生に人生を捧げる水菜萌の姿を見て何か言わなかったんだろうか……。描写されてないだけかもしれないけど……。
ネタバレここまで。

モヤモヤした部分についての感想が多かったが、そう思えるのもそれだけ作品の世界観に浸れたからであり、作品全体としてとても2000円のクオリティではない。お勧めできる。

投稿日: 2021-04-24

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